GP神戸2015 TOP4 高尾翔太の「エスパーメンター」デッキ解説

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高尾

初めまして。11/20~11/22にかけて開催されグランプリ神戸2015でTOP4に入賞し、記事を書かせて頂くことになりました高尾翔太と申します。

簡単に自己紹介させて頂きますと、マジックを始めたのはテンペストブロックの時で、神河ブロックで一度引退。ローウィンブロックで復帰した時にマジックを競技として考えるようになりました。
好きなアーキタイプはクロックパーミッションで、青絡みのビートダウンを好んで使用します。
普段はMOを中心に練習しており、プロツアーには3回だけ出場した経験があります。
今年のBig Magic OpenからBig Magicさんとユニフォーム契約を結び、これまでより精力的に競技プレイヤーとして活動していく所存です。


この記事では、今回のGPでのデッキを使用するに至った理由や調整過程、デッキ解説、その後の改良型について綴っていきます。

 

1.デッキ選択理由

 
私が構築グランプリに向けてデッキを選択する上での指標として、MOで構築レーティング1850近くを維持できるデッキを常に意識しています。
MOと現実のメタゲームにやや差異はありますが、グランプリに関してはほとんど同じ傾向と言っても過言ではありません。それは、現代がネットワーク社会で情報を共有しやすく、
現実で勝ったデッキがMOで、MOで勝ったデッキが現実ですぐ結果を残し得る、循環・収束環境にあるからです。
私は前スタンダード環境で「ジェスカイ」を主に愛用していたため、今回もプロツアー『戦乱のゼンディカー』で活躍した「ジェスカイブラック」から調整を開始しました。
汚染された三角州大草原の川
しかし、フェッチランドとバトルランドの扱いが非常に難しくマナベースが安定していないこと
ミシュラランドが取れずマナフラッドに弱いことが弱点となり、あまり勝率はあげられませんでした。
プロツアーで準優勝した玉田さんの「ジェスカイ」も試し、「アブザンアグロ」にはそこそこの勝率はあったものの、
《龍王オジュタイ》と《風番いのロック》が非常に厳しく断念する結果となりました。
そんな中、公式記事で「ジェスカイメンター」というデッキが紹介されました。
爆発力の高さに目を引き、しばらく調整した結果、しっかり回ればほとんどのデッキに有利がつきました。
が、《マグマの洞察力》が不安定で逆にどのデッキにも負けることもあり、こちらも断念する結果となりました。
しかし、この「ジェスカイメンター」を調整したことで大きな収穫を得ました。

 

僧院の導士

"《僧院の導師》が「アブザンアグロ」に強い"

 

「アブザンアグロ」の主な除去は《ドロモカの命令》と《アブザンの魔除け》のみで、通常はスペルのマナを余らせて着地させたい《僧院の導師》ですが、
先手3ターン目に出しても返しで除去られない場合が多く、生き残ればそのまま勝利へ直結します。
そこで、1マナの呪文として《僧院の導師》の相棒に最も相応しい《強迫》を見つけ、エスパーカラー(青白黒)を調整しました。

ヴリンの神童、ジェイスゼンディカーの同盟者、ギデオン
ミシュラランド、ジェイス、ギデオン等の環境屈指のパワーカードを上手く使えることもこのデッキを選択する決め手となりました。

 

2.調整過程

 

導師を使うエスパーカラーのデッキを組むにあたって、まずおおまかに以下のようなことを考えました。

乱脈な気孔

・《乱脈な気孔》含む土地24~25枚

道の探求者強迫
・2マナ域のクリーチャーには「アブザンアグロ」に強いジェイスと《道の探求者》を採用。
どちらもハンデスなど能動的に動く呪文と相性が良い。
・軽い除去は限定的なものが多いため、各々の枚数を散らす。
・ハンデス&除去⇒ギデオンや、《僧院の導師》⇒ギデオンといった動きが強力なため、後手でも活躍し得るギデオンは4枚。
・相手の先手ギデオンで負けないよう《破滅の道》を採用。
・白と黒が濃くなるため、青は薄く。
・《残忍な切断》2枚、《宝船の巡航》4枚と探査スペルを多め。

残忍な切断宝船の巡航

しかし調整していく中で、3枚目以降の探査能力が活かせないことに気づきました。
探査能力が活かせない探査スペルはコストパフォーマンスが悪く、枚数を抑える必要がありました。
とはいえ、4ターン目に《僧院の導師》を出しつつ《残忍な切断》を構える動きが強力だったため、
《宝船の巡航》を2枚に減らし、代わりに重量カードとして《龍王オジュタイ》を採用しました。

龍王オジュタイ
《龍王オジュタイ》は「アブザンアグロ」にただ強いだけでなく、《強迫》で除去を落として殴る嵌めパターンや、
相手の《龍王オジュタイ》と《風番いのロック》が辛かったこともあり、それらを止めれる《龍王オジュタイ》はマスターピースだと感じました。
《はじける破滅》擁する「ジェスカイブラック」が減少傾向にあったことも採用を決定づけました。

 

3.デッキ解説

 

 「エスパーメンター」 高尾翔太 GP神戸2015 4位
25lands
2 《平地》
1 《島》
2 《沼》
2 《大草原の川》
1 《窪み渓谷》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
1 《進化する未開地》
4 《コイロスの洞窟》
4 《乱脈な気孔》
14cretures
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《道の探求者》
4 《僧院の導師》
2 《龍王オジュタイ》
21spells
4 《強迫》
2 《蔑み》
2 《勇敢な姿勢》
1 《絹包み》
1 《究極の価格》
2 《破滅の道》
2 《残忍な切断》
2 《宝船の巡航》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
sideboard
2 《白蘭の騎士》
2 《層雲の踊り手》
1 《払拭》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《自傷疵》
2 《正義のうねり》
1 《見えざるものの熟達》
1 《絹包み》
1 《究極の価格》
1 《次元の激高》

デッキのおおまかな動きとしては、2ターン目にジェイスか《道の探求者》を出すところから始まります。
相手のデッキが赤かったり、1ターン目にフェッチランドから《沼》を出しても残りの手札の色マナに余裕がある場合は、
1ターン目の《強迫》からスタートすることもありますが、ハンデスは果敢用に残すのが基本となります。
《僧院の導師》については、相手のデッキに除去が少なかったり、2ターン目に除去を使わせている場合は、
3ターン目に出すパターンが多いです。
モンクトークンがたくさん並んだら、後はギデオンやソリンを唱えて果敢とアンセム能力で一気に打点を膨らませて、勝利します。

 

ここからサイドボードの一部を解説します。
▼白蘭の騎士

白蘭の騎士
すっかりよく見かけるカードとなりましたが、サイドカードとしては珍しいかと思います。
個人的には、2ターン目に白白が安定して出せるデッキであれば、どのデッキもサイドに仕込むべきだと考えていて、後手のときだけサイドインします。

1本でも取れたゲームがあればサイドインするタイミングは訪れるため、多くのラウンドで先手後手をひっくり返せることになります。
また、対「エルドラージランプ」には先手でも誘発させれることが多いため、常にサイドインします。
対「エルドラージランプ」はスピード勝負となるため、打点をあげつつマナを伸ばすことは追加ターンと同等の働きをします。

 

▼層雲の踊り手

層雲の踊り手
「アタルカレッド」や「エスパードラゴン」、「4色ラリー」など、打ち消す対象が多いマッチでサイドインします。
特に「4色ラリー」は地上は異常に堅いですが、空はからっきしのため、カウンターしつつ3点クロックを刻めるのは重宝します。

 

▼次元の激高

次元の激高
PWコントロールという側面も併せ持つこのデッキでは、サイドからの全体除去も非常に噛み合った動きができます。
ジェイスで使いまわしても、《乱脈な気孔》を覚醒させても強力です。

 

 

4.改良型

 「エスパーメンター」 after GP神戸




24lands
2 《平地》
1 《島》
2 《沼》
2 《大草原の川》
1 《窪み渓谷》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
4 《コイロスの洞窟》
4 《乱脈な気孔》

12creatures
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《道の探求者》
4 《僧院の導師》

24spells
4 《強迫》
2 《蔑み》
1 《勇敢な姿勢》
1 《絹包み》
2 《究極の価格》
2 《骨読み》
2 《破滅の道》
2 《残忍な切断》
2 《宝船の巡航》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《真面目な訪問者、ソリン》

sideboard
2 《白蘭の騎士》
2 《層雲の踊り手》
1 《否認》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《自傷疵》
2 《アラシンの僧侶》
1 《見えざるものの熟達》
1 《絹包み》
1 《衰滅》
1 《卓絶のナーセット》

 

グランプリTOP4という結果を経て、その後幾度かこのデッキに調整を加えました。

まず1つ目はスペルの枚数です。元のリストは21枚と特段多くもなく、ジェイスのサポートなしでは継続して"果敢"を誘発させることが困難です。
そこで《龍王オジュタイ》と土地を合わせて減らすことでスペルの増量を図りました。
そのスペルは追加の《真面目な訪問者、ソリン》と《骨読み》2枚です。ソリンはギデオンの高打点をサポートするだけでもかなり強力で、ダメージレースで主導権を
握ります。また、準決勝で「アタルカレッド」に敗れたこともあり、1枚で逆転できるカードを増やすことにしました。
《骨読み》については以前から《道の探求者》との相性で個人的に気に入っており、《宝船の巡航》をあまり多く取れないことからも追加のドローソース
として《骨読み》は見事にマッチしました。

骨読み苦い真理.2
最近《苦い真理》が様々なデッキで大活躍していますが、発売当初から《骨読み》とよく比較されていました。
私個人としても《苦い真理》の方が好きなのですが、ペインランドがデッキに複数ある場合は4点ものライフを失うことになりやすいため、
《コイロスの洞窟》を4枚採用しているこのデッキでは《骨読み》を優先しています。

軍族童 アラシンの僧侶
サイドボードについてですが、元のリストでは対「アタルカレッド」用としてスペルを優先して《正義のうねり》にしていましたが、
《軍族童の突発》によるトークン戦術が非常に辛かったため、横並びに強い《アラシンの僧侶》に変更しました。
同様に《軍族童の突発》や《前哨地の包囲》を打ち消せるよう、《払拭》を《否認》にしました。
《次元の激高》が1マナ軽い《衰滅》になったのも「アタルカレッド」を意識してのことです。
《卓絶のナーセット》は基本的にはリソース勝負となる遅いデッキやミッドレンジ相手にサイドインしますが、特に《はじける破滅》擁する相手には
ソリンが活躍し辛いため、入れ替えて使うことになります。

GPで優勝したこともあって、「アタルカレッド」を意識した形になっていますが、皆さんもその時・その地域のメタゲームに合わせてこのデッキを調整してみてください。

 

5.今後の抱負

高尾2

BIGMAGICさんとユニホーム契約を交わしてからというもの、Big Magic OpenでTOP8、グランプリ北京で11位、グランプリ神戸でTOP4とこれまでにないほど
好調な成績をおさめており、モチベーションの重要性をひしひしと感じています。
今期はゴールドレベルを目標としているので、来年2月に控えたプロツアー『ゲートウォッチの誓い』で大きくプロポイントを稼げるよう、
今後はモダンを重点的に練習していきたいところです。リミテッドについては構築に比べてやや苦手意識があるため、それが仇とならないよう
周囲のプロプレイヤーの方々と積極的に意見交換を交えていきたいと考えています。

今回はGP神戸に向けて私が調整したデッキについて解説させていただきましたが、全ては書ききれないため、読み辛い部分もあったかとは思います。
このデッキの調整録が少しでも皆さんの今後の練習方法の参考になれば幸いです。
 

それでは、またGP名古屋でお会いしましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


※編注:記事内の画像・リンクの一部は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』