2015/01/26 硫黄の精霊 - Card of the Day -今日の1枚-

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硫黄の精霊/Sulfur Elemental

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  来週に控えたプロツアー『運命再編』。フォーマットはリミテッドとモダンだ。モダンがフィーチャーされるのも随分久しぶりで、しかも《宝船の巡航》《時を超えた探索》《出産の殻》が禁止・《ゴルガリの墓トロール》が解禁を受けた直後のプレミア・イベントということで、全世界の期待が高まっている状況である。今週は、そんな環境が激変するであろうモダンで、活躍し得るポテンシャルを持ったカードを紹介しよう。「モダンのいぶし銀ウィーク」…まあ、今週の終わりまでには良い纏め方を見つけておくよ。なんにせよ、1枚目の紹介行ってみよう。

 というわけで《硫黄の精霊》。変わった能力を持っており、とても『次元の混乱』色が色濃く出たデザインである。赤くて瞬速持ちのクリーチャーというのは非常に珍しい。赤は速攻の色なので、瞬速の「ソーサリー除去を受けずに殴ることが出来る」というメリットをそれほど必要とはしていない。ただ、色の役割が大きく変わろうとしているのがこの『次元の混乱』で、速攻の亜種と呼べなくもない瞬速を持っていることにそれほど違和感がある訳ではない。

 無視できないのは、白のクリーチャー全てに+1/-1の修正を与えるという能力。元々、赤は白への憎しみを込めたカードが多くデザインされている。お互いに敵意剥き出しのカードを持つ、THE対抗色といった間柄の2色であるが、この《硫黄の精霊》は一味違う。パワーを上昇させるというメリットと、タフネスを減少させるデメリットを併せ持っているのだ。ただタフネスを下げるだけだと強力すぎる故のデメリットなのか、あるいは自軍のパワーを上げて打点を高めるという選択肢も取れるカードとしての幅を広げたのか。制作秘話はどうあれ、使われ方はほぼ「対白決戦兵器」としての運用一本だった。環境に溢れるタフネス1の白のクリーチャー、《サバンナ・ライオン》や《砂の殉教者》、そして永らく赤の天敵であった《サルタリーの僧侶》を文字通り一掃したのだった。

 このカードの強みは、もう1つの能力「刹那」にもある。見てから対応出来ない、不可避の全体除去兼クロック。これが2枚並んだりすると、ほとんどの白いクリーチャー(構築シーンにいるということは、軽くて小さいものだ)は生存を許されなくなる。尋常じゃないよね。赤の復讐の時間が始まった、当時はそう実感し戦慄した。

 現在、プラチナレベルに輝くプロプレイヤー、渡辺雄也氏をGP優勝へと導いた1枚でもある。サイドボード用に見えるカードだが、「青赤トロン」でメインに4枚フル投入され、優勝へ導いた…あの年から8年近く経つのか。2015年のモダンでも、白いクリーチャーを中心としたデッキ、特に《僧院の導師》を迎えたトークンデッキなんかが流行ったりすればまたスターダムにのし上がってくることだろう。

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