2015/02/07 開闢の巻物 - Card of the Day -今日の1枚-
タグ:Card of the Day, 神河救済, 開闢の巻物開闢の巻物/Scroll of Origins
「開闢」とは元々中国語の「開天闢地」という言葉を日本語でよりわかりやすく「天地開闢」と訳したものをさらに短くしたもの。意味は、天と地の境目が出来たその時・世界の始まり。転じて、聖地である山を切り拓いて寺院などを建てたりする際にも用いるらしい。こんなマイナーな言葉、会話の中でもおそらく生涯耳にしない人生の方が圧倒的多数だろう。まだまだ知らない日本語ってあるんだなと。楽しくなってまいりました。
そんな訳で、始まりを意味するカードをあえて「節分ウィーク」の最後に持ってきた(計算ではなくたまたま)。《開闢の巻物》がどちらの意味の開闢なのかは明記されていないが、フレーバーから察するに歴史の=世界の始まりを記したものなのだろう。英名も「Scroll of Origins」で、これを「起源の巻物」とテンプレ翻訳しなかったのはなかなかに心憎い演出である。『神河救済』という1つの歴史物語が幕を閉じるタイミングで登場したこのカードは、誰が予測したであろう、かの《Library of Alexandria》のリメイクとも言える1枚となった。
同セットでは、手札が多ければ多いほどメリットが発生する、なんだったら7枚以上あればさらにドン!そんなデザインのカードが多数存在する。この《開闢の巻物》はそれらの親玉的ポジションである。手札が7枚以上ある場合のみ2マナで1枚ドロー出来る、半額の《ジェイムデー秘本》として運用できるアーティファクトである。トータル8マナで1ドローのジェイムデーに比べると、全て込みで4マナ1ドローはかなり強く見える。
が、実際は…どうだろうね。先手だと1ターン目土地をセットして6枚→ドロー、セット、巻物で5枚、と手札が落ち込む。これを起動するには最速で2ターン後だが、次のターンに土地をセットしたり呪文を唱えないことが最低条件となる。そこまでして、4ターン目に手札を8枚にすることは意味があるのか?基本的にはないだろう。よっぽど特殊なデッキ・マッチアップでのみ嬉しいのではないだろうか。本家である《Library of Alexandria》は、土地だった。これが強さのポイントで、能力を起動する機会が訪れなくとも、無色とはいえ1マナ生み出すことが出来たのだ。まあ単純に1ターン目セットの2ターン目起動っていう動きがぶっ壊れなんですけどね…。
過去に駄目なカードワースト100というコラムが書かれていたが、先人に倣って「どうすればよいか」考えるなら、この巻物も純粋なマナアーティファクトとして使用できれば良かったんじゃないかなと。どの色でも使えるマナ加速があんまり良いものじゃないと考えているのが最近のカードデザインからは見て取れるが、天地開闢を記した巻物にそれぐらいのパワーがあっても誰も文句言わなかったんじゃないかなと思わずにはいられない。