嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon
タグ:Card of the Day, MTGシングル, Stormbreath Dragon, テーロス, 岩SHOW, 嵐の息吹のドラゴンCard of the Day -今日の1枚- 2015/04/04
嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon
「息吹ウィーク」のトリを飾るのは、息吹をその名に冠するカードの中でも文句なしの「最強」の1枚。《嵐の息吹のドラゴン》の登場だ。皆大好きでしょ、違いない。え、憎いって?使われる側のお客様ですね...。
かつて《雷口のヘルカイト》というドラゴンがこの世界の空を支配していた。同時期に《未練ある魂》《ファルケンラスの貴種》《修復の天使》が覇を競い合うライバルとして存在したが、そのいずれも力でねじ伏せ、制空権を掌握したのはヘルカイトであった。この竜は次なる戦場を求め空を去ったが、我々が冒険する新たな空・古代ギリシア世界の空には同じ色・マナコスト・ドラゴンであるこの《嵐の息吹のドラゴン》が待ち構えていたのだった。というわけで、前任のスーパーパワーカードに続いて登場したのは、除去耐性の増したこの1枚。サイズは4/4と落ち着いたものの、5マナで飛行速攻に加えてプロテクション(白)と隙のないモデルチェンジ。《アゾリウスの魔除け》《拘留の宝球》が通用しないという事実は、全世界の青白コントロール愛好家を震え上がらせたことだろう。正直なところ、これだけで神話レアのスペックであるが、ここに更にもう1つ、段階を上げてくるのが『テーロス』のすごいところ。
7マナと非常に重いコストを支払うことで起動できる能力は"怪物化"。4/4から7/7へと成長することで、ヘルカイトよりもサイズを大きくすることが可能になる。さらには、怪物化を経て"怪物的"へと達した時に誘発する能力まで持っている。もうなんでもアリだ。この能力は、全ての対戦相手に彼らの手札の枚数に等しいダメージを叩き込むというもの。それこそ、「嵐の息吹」を吐きかけるのだろう。同じ効果を持つ《突然の衝撃》が4マナであるという点から考えても、この怪物化コストはかなり安く設定されていることがよくわかる。ゲームをしていると、これを起動出来れば概ね勝ちで、その逆もまた然り。MOやってると、土地引け!土地引くな!と度々祈らされたもんである。
このカードのデザインの根本は、ギリシアの神々も恐れた最強最大の大怪物にして、ケルベロスといった怪物達の父祖であるテュポーンだ。「全ての怪物の父祖、テュポーン」という仮名で開発されたこのカード、最初は6マナ3/3飛行・XRRRで起動できる怪物化Xと、怪物化時に《連続突撃》の効果が得られるドラゴンであった。そこから様々な調整が入り、6マナ5/5で怪物化してアタックすると全体に3点ダメージを与えるものになり、そして今ある形に落ち着いた...が、最初は各対戦相手ではなく、対象のプレイヤーに手札の2倍のダメージを与えるというより激しい誘発型能力を所持していた。これは《スフィンクスの啓示》コントロールに対しての抑止力になるようにということで施された調整だったが、2倍はやり過ぎだったのだろう。さらに《波使い》《霧裂きのハイドラ》と共にプロテクションを有する強力クリーチャーとして5色にまたがるサイクルを形成していたのだが...調整の末、2枚のカードがこれか弾かれることとなったそうな。彼らに関しては、またいつか。
イラストに描かれたドラゴンが他に類を見ない、身体が細長くうねったものになっているのはテュポーンがモデルであるからだ。蛇の下半身を持ち巨大な翼を持つテュポーンは、その両手を広げると世界の東から西へと届いたという。このドラゴンも、洋の東西を問わず最強の航空戦力として暴れ回っており、まさに神話の世界から飛び出した現代のテュポーンであると言ってしまって良いだろう。