RPTQ Round2 ホリウチマコト (アトラス本八幡店) vs ワダヒロヤ(プロレベル シルバー)




プロツアーへの参加権利を得るために、日本中どころか他国からも数多くのプレイヤーが集った今回のRPTQ。
その数144名。堂々たる、世界最大級の予選となった。スイスラウンド8回戦で行われ、上位8人が参加権利獲得となる。
今回のフォーマットは、モダン。

第1回戦が行われている際に、会場をグルッと見て回ったが…デッキの多様性に驚くばかりだ。
多く見られたのは、「親和」「バーン」「ジャンド」「タルモツイン」…《野生のナカティル》を展開する「Zoo」らしきデッキも多そうだ。

そして、モダンならではのマイノリティ。「ランタンコントロール」や「蔵の開放」といった会場に1名しか持ち込んでいないであろう個性的な
デッキがメジャーなデッキを相手に試合を行っているのを観るのは、このフォーマットの醍醐味である。

第2回戦のフィーチャーマッチも、そのような組み合わせとなっている。和田と堀内の試合の模様をお届けしよう。





堀内はゲーム開始前に「リミテッドのPPTQで権利を得たので…」とモダンへの不安を明かす。
対する和田はシルバーレベルのプロプレイヤーであるため、PPTQを戦わずともこのRPTQに参加する権利を持っていた。


Game1

ダイスロールを制したのは和田、両者マリガンなし。


和田は《変わり谷》から《霊気の薬瓶》を設置。この2枚のカードで、モダンを経験したことのあるプレイヤーならデッキ内容は十分に把握できる。「マーフォーク」だ。

堀内は《沼》から《コジレックの審問》。見えた手札は

《島》×2
《蒸気の絡みつき》
《アトランティスの王》
《銀エラの達人》

やはり「マーフォーク」。和田は以前、このデッキでPTQを勝ち抜いている。思い入れがあり、また最も使用した自信のあるデッキなのだろう。

会場でも、見たところ唯一のマーフォーク使いである。


この手札から堀内が捨てさせたのは《銀エラの達人》。アドバンテージを生み出すクロックを、手札に眠っているうちに処理することに成功する。

ターンが帰ってきた和田は、薬瓶にカウンターを置き、間髪入れず《変わり谷》の能力を起動して攻撃。相手がフルタップの隙にダメージを刻んでいく。

堀内の2ターン目のアクションは、フェッチから《森》を持ってくる。そのまま唱えたのは《漁る軟泥》。
手札破壊や除去で墓地に落ちたクリーチャーを喰らい、デカくなりつつライフも供給する危険なクリーチャーだ。これが出てくると言う事は、
堀内のデッキも絞られる。「ジャンド」か「アブザン」、所謂BG系。モダンの本命デッキの1つである。


これでお互いが相手のデッキを把握した上で迎えた和田の3ターン目。ちょっとした事件が起きる。
和田が《霊気の薬瓶》の上にカウンターを置くのを、忘れたのだ。
あえて置かない、という選択肢は…1マナのクリーチャーも手札になく、2マナの《アトランティスの王》が手札にある以上、ゼロだと言い切れる。



和田は《島》を置いてターンエンド。カウンターが2であれば、《変わり谷》を起動して攻撃にいけたことだろう。あるいは構えるにしても、
堀内のターン終了時にアトランティスを戦線に投下して自身のターンを迎えられる。


堀内は、この明らかなミスにより生まれた隙をついてくる…かと思われたが、少し考えた後に土地を置いてターンエンドを宣言。
これ受けて和田は、《漁る軟泥》に《蒸気の絡みつき》を使用し盤面を更地にする。


堀内のアクションなしに救われた和田は、今度は忘れないとばかりにライブラリーに薬瓶をより近づけつつ、先程置き忘れた2つ目のカウンターを置く。
ここで《変わり谷》を起動し攻撃宣言。堀内はこれに対してフェッチランドを起動、《血の墓所》を2点支払いアンタップインさせ《稲妻》で迎撃にかかる。

デッキはやはり「ジャンド」であった。本日の最多勢力である可能性もあるデッキだ。
和田はこの除去にスタックで《蒸気の絡みつき》で《変わり谷》を自身の手札に戻す。1点のライフを失うも、貴重なクロックを守ることを優先した。その《変わり谷》を再度セットしてエンド宣言。


続く堀内のターンは土地を置いてターン終了、ここで和田は薬瓶を起動。《アトランティスの王》を着地させるが、
これには堀内《コラガンの命令》で2点ダメージを与えつつ手札破壊を行い、アドバンテージを稼ぐ。

マーフォークを従える王を失った和田だが、返しのターンで薬瓶のカウンターを3に伸ばし、谷で攻撃。
薬瓶から《メロウの騎兵》が飛び出し、谷のパワーが上昇。失ったロードをしっかり引き当てていたのだ。
しっかりとクリーチャーを引き込めている和田に対し、堀内はバウンスされた軟泥を再展開してターンエンド。

メロウを除去されずにターンを迎えた和田は、薬瓶のカウンターをこのデッキのマックスサイズ・4に上昇させる。
そしてメインフェイズ。2マナで唱えたのは…

 

《潮流の先駆け》。これを唱えたことでメロウの能力が誘発し、軟泥をタップ。タップ状態の軟泥を、先駆けがバウンス。
部族デッキらしいコンビネーションで軟泥は戦場に居ることを許されない。谷とメロウが5点という無視できないダメージを叩き込み、

いよいよ苦しくなる堀内。続く自身のターンは軟泥を再々出撃させてエンド。


和田は《広がりゆく海》でブロッカーになり得る《怒り狂う山峡》を《島》にしつつ、ドローしてさらなるマーフォークを探すが…ここは動かず、ターンエンド。堀内は軟泥で銀エラを追放し1点回復。

そして迎えたターン。軟泥に続く2体目のクリーチャーを遂に戦場に投下することに成功する。《オリヴィア・ボルダーレン》。万全で次のターンを迎えられれば、この吸血鬼でゲームを支配し返すことも可能だろう。

しかし、それは叶わなかった。
和田は2枚目の《メロウの騎兵》を唱え、軟泥をタップしてブロッカーを減らし谷を含める3体のマーフォークで攻撃。オリヴィアはチャンプブロックせざるを得ず、ライフも軟泥の回復を含めて2点。
堀内はターンを迎えて、引いたカードをチラリと確認すると、投了の意を示したのだった。


和田1-0堀内


堀内「てっきり、薬瓶にカウンターが乗ってると思ってて…」
和田「あれは、マジで置き忘れてました」
堀内「乗ってないって気付いてたら、違うプレイングしてたんだけどなぁ」

和田のうっかりミスに、堀内も気付いていなかったようだ。
2人とも笑顔で話してはいるが、その表情からはそれぞれの悔しさと戒めの心が感じられた。


Game2

堀内は沼から《コジレックの審問》。Game1と同じスタートだが今度は先手だ。
和田はマリガンを1度行っており、ただでさえ手札は少ない。

《島》×2
《呪い捕らえ》
《霊気の薬瓶》
《メロウの騎兵》
《波使い》

この手札から、先程勝負を決めた《メロウの騎兵》が落とされる。



更に堀内は《闇の腹心》を2ターン目に着地させ、アドバンテージの差をつけて圧倒しようという動き。
これで獲得した手札破壊を連打し、《波使い》も2枚目を引き入れた《メロウの騎兵》も叩き落す。
和田の唯一のクリーチャーである《呪い捕らえ》も《マグマのしぶき》で除去し、《漁る軟泥》《高原の狩りの達人》と怒涛の展開。

和田は《潮流の先駆け》のバウンス能力で時間を稼ぐも、《高原の狩りの達人》が《高原の荒廃者》に変身し、盤面を完全に破壊されると投了を宣言した。


和田1-1堀内


和田は再びマリガンでスタート。占術で見えたのは《メロウの騎兵》。これをトップに保持し、《島》から《呪い捕らえ》という立ち上がり。

堀内も沼から《思考囲い》。3ゲーム連続で沼ハンデススタートを切るが、これには《呪い捕らえ》が飛びつき手札は落とせない形となる。


和田はハンデスから守護した手札から《アトランティスの王》。堀内は《踏み鳴らされる地》ショックインから《闇の腹心》。
お互いが2ターン目まで互角の動きをする中、和田が3ターン目に繰り出したのは《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》。
自軍のクリーチャーに飛んでくるそのターン最初の除去は自動的に打ち消してしまう、厄介な存在である。
ジャンドが不得意な飛行クリーチャーというのもエラいヤツだ。

堀内は返しで《タルモゴイフ》を出すも、この3/4では飛行を止められず…また《闇の腹心》のライフルーズもあってはダメージレースを制するのは厳しくなりそうだ。
ここに、和田が追撃で展開したのが…

《アトランティスの王》と《広がりゆく海》。
唯一の緑マナ源である《踏み鳴らされる地》は《島》となり、互いに島渡りを与え合う王達を止められず。

状況を打破しようにも、《闇の腹心》は解決策を与えてくれず、堀内は投了を宣言。ここに決着がついたのだった。


和田2-1堀内


ゲームが終わって、感想戦が始まる。

堀内「Game3の2ターン目、《アトランティスの王》に《稲妻》を打つか、《闇の腹心》を出すかの2択で…手札がその2枚以外土地だったので、後者を選びました。あれがミスだったのかな…綺羅が出てきちゃって」
前者の動きをしていれば、ライフにはまだ余裕がありゲーム展開は大きく変わったかもしれない。

和田「Game3はこちらの理想の動きでした。逆にGame2はジャンドの理想の動きでしたね」

堀内「やっぱりGame1か…あそこで、1つしか乗っていないことに気付いていたら…プレイングも変わってたなぁ(笑)」

和田「ツイッターなんかで言う、『相手が下手すぎて負け』ってやつですかね」


和田 Win!