SSSスタンダード(ゼンディカー) Round 1 川崎慧太 vs 神戸 俊幸

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SSSスタンダード(ゼンディカー) Round 1 川崎慧太 vs 神戸 俊幸 Text by 森安 元希 既にグランプリのサイドイベントとして定着しているスーパーサンデーシリーズ。 今回の参加者は290人。 これまで通り、2つに分かれた「スイス9回戦トーナメント」の「各トップ4」が 決勝シングルエリミネーションを行う形だが、今回、新しい挑戦が試されている。 スタンダードとリミテッドであった2トーナメントは、どちらもスタンダードへの変更となった。 変更の理由は幾つかあるようだが、トーナメント間の参加者の格差を埋める意味合いもその1つらしい。 『ゼンディカー』と『エルドラージ』という相対する名が付けられた2トーナメントのうち、 今回は『ゼンディカー』トーナメントより開幕戦、Round 1の様子をお届けする。   『SSSスタンダード(ゼンディカー) Round 1 川崎 慧太 対 神戸 俊幸』 BIGsの一人、先のグランプリ・シンガポールでは調整を続けた愛機の"ジャンド"でトップ4の成績を収めている川崎 慧太。 スタンダードにて、その確かな"緻密な調整力"を見せつけられるか。 神戸俊幸(Goodo Toshiyuki) が相対する。   [写真] IMG_3614 GAME1 先手、神戸。 互いに1マリガンによる不十分なスタート。占術はトップ同士である程度の動きはありそうだ。   神戸は《大草原の川》から《コイロスの洞窟》。 白青黒のカラーリングだが、フェッチの関係上、ここまではアブザンアグロも取り得るマナ基盤だ。   川崎、《窪み渓谷》から《溢れかえる岸辺》起動で《大草原の川》をサーチ。 3マナ目の《溢れかえる岸辺》も《窪み渓谷》サーチで、青黒ベースのデッキであることを確定させる。   神戸、3ターン目に土地を止めたが、翌ターンには《白蘭の騎士》で3マナ目となる《平地》を展開。 川崎、即座にこれを《究極の価格》で退場させ、クロックを形成させない。   4マナ目の《平地》を引き込んだ神戸、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を唱えるも、 川崎から《シルムガルの嘲笑》。 神戸はフルタップで唱えた為にドラゴン公開の必要はなく、得られた情報はない。   川崎、開けたターンで《窪み渓谷》3《大草原の川》1から《島》を置いて《龍王オジュタイ》。 神戸、その隙に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》2枚目を着地させ、即座に奥義。   川崎、この動きの不審さに《強迫》で前方確認。 《残忍な切断》2《絹包み》2というハンドから《残忍な切断》をディスカード。 その後、黒マナの寝ている隙に《龍王オジュタイ》で攻撃。ハンドを確保していく。   勿論、翌ターンには神戸の《残忍な切断》で落とされるものの、 川崎のハンドに2体目の《龍王オジュタイ》がいてこそのアタック宣言であった。   神戸、《真面目な訪問者、ソリン》から吸血鬼・トークン。 川崎、《残忍な切断》でこれを取り除いてから《龍王オジュタイ》アタック。 《真面目な訪問者、ソリン》を無視し、プレイヤーを狙い、ハンドを確保する。 川崎、第2メイン再度の《強迫》で見たのは《絹包み》3《真面目な訪問者、ソリン》というハンド。   唯一の有効牌である《真面目な訪問者、ソリン》を抜かれると、展開力を枯らした神戸。 《忌呪の発動》で、《真面目な訪問者、ソリン》と引き換えの2体目の吸血鬼・トークンも落とされ、 《龍王オジュタイ》が4度目の羽ばたきを見せると、ゲームが決まった。   神戸 0-1 川崎   白青黒(エスパー)カラー同士のマッチだが、大きくアプローチが異なる。 神戸はおそらくトークンに寄せた白黒ベースのエスパー・トークンであるのに対し、 川崎は《龍王オジュタイ》を軸にしたドラゴン・カードをフルスペックで利用するエスパー・ドラゴンだ。 パーミッションやコントロールというよりは攻めに回るべくミッドレンジ的に動くことも多い。 マッチアップとしてのゲームスピードは決して遅くない。   GAME 2   再び先手の神戸。2マリガン。占術は下。 川崎、土地は《溢れかえる岸辺》1枚の危うい7枚キープだが、 《強迫》、《ヴリンの神童、ジェイス》、《究極の価格》と欲しい初動は揃っている。   神戸、《乱脈な気孔》、《平地》から《搭載歩行機械》スタート。 川崎の手にこれに対する直接的な回答はないが、果たして―…   川崎、予定調和的に《溢れかえる岸辺》から《窪み渓谷》をサーチするも、 2ドローの間に土地は引けず1マナ・ストップ。 唱えた《強迫》では《完全なる終わり》《払拭》から《払拭》を落とす。   ここで土地は見えていなかったが、以降、神戸は5マナ目まで留まらずに伸ばす。 3ターン目にしてようやく2マナ目を引けた川崎、《ヴリンの神童、ジェイス》を展開。 ルーター能力に期待するものの、2回のルーター合わせて4枚見ても、3マナ目が見えてこない。 《ヴリンの神童、ジェイス》が変身し、今はPW能力よりも欲しいルーター能力も失う。   神戸、《強迫》を引き込み、無数の選択肢から《シルムガルの嘲笑》を落とす。 しかしこれは川崎にとって好機でもあった。 捨てられた《シルムガルの嘲笑》は墓地の6枚目とあり、立っている青マナが2つ。   そして《強迫》によって落とされなかったカードの1枚に―…《時を越えた探索》があった。 撃てなかったはずの《時を越えた探索》が探査によってプレイに届き、 ここで土地を2枚しっかりと加えた川崎。ようやくその窮屈感から解放された。   《束縛なきテレパス、ジェイス》によって《搭載歩行機械》が無力化されている神戸、 《白蘭の騎士》を追加するものの《究極の価格》で退けられると、 《乱脈な気孔》のみで川崎のライフを狙い続ける。 併せて《搭載歩行機械》を育てていくものの、 カウンターを3にしたところで《完全なる終わり》で退場させられてしまい、トークンは残せず。   マナスクリュー(土地不足)で悩んだ川崎に対し、 逆にスペルを引けずにマナフラッド(土地過剰)の神戸。 先に問題を解決した川崎が、主導権を握り始めた。   川崎、《黄金牙、タシグル》を展開。 プラスを続けた《束縛なきテレパス、ジェイス》は、奥義を起動して更に生き残る。 《黄金牙、タシグル》の能力も動き始める。   しかし神戸側もキー・アクションである《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は既に着地しており、 川崎これに中々確たる回答を見いだせない。   膠着しながらも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がトークンを増やし続けるかのように見えたが、 2回目の《黄金牙、タシグル》起動で都合が変わった。 川崎が、《完全なる終わり》《龍王オジュタイ》《龍王シルムガル》《時を越えた探索》という 理不尽とも言える4択を神戸に示す。   回収した《完全なる終わり》で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を退けると、 ここから毎ターン《黄金牙、タシグル》がハンドを増やし続ける川崎。 《黄金牙、タシグル》の起動は毎ターン必ずマナに余裕を持ちながら行い、 ギデオンの残したトークンに《究極の価格》、 神戸渾身の《見えざるものの熟達》に《風への散乱》といった"負けない"プレイを続けると―… 《束縛なきテレパス、ジェイス》のエンブレムがいつの間にか、神戸のライブラリーを削りきっていた。   川崎、ライブラリーアウト勝ち。   神戸 0-2 川崎   川崎 WIN!   今回のデッキを「普段使わないから、慣れてない」と笑う川崎。 しかし、そのなかでも堅実と思われるプレイを魅せつけている。 クロックパーミッション的な動きを取ることも多い"ジャンド"との親和性をどこかで感じているのかもしれない。 残る8戦を、幅広くも鋭い羽翼を持つ《龍王オジュタイ》の背に乗って、駆け上る。