【BMO Vol.6】BIG MAGIC Invitational Round 2 モリナガ ヨウスケ(宮城)対 河浜 貴和(東京)
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Text by 森安 元希
BIG MAGIC Invitational
BIG MAGICが新たに主催する完全招待制大会、その第2ラウンドの開始のコールが大阪会館に響いていた。
権利獲得者総数100人を超えるなか、実際大阪会館に足を運んだ強豪らは80人。
初開催故にどの程度参加するか全く予想できなかっただけに、参加率80%はBMInviが評価されていることの裏付けだろうか。このうち64人に賞金が分配される為、丁度8割の参加者が貰えることになる。
実際、名前も戦績も知られているプレイヤーの比率が非常に高くなっている。確かな実力に裏付けされた見栄えあるマッチが続くことが確約されているだろう。
既に先のRound 1ではBIG MAGIC所属プロである瀧村 和幸,松本 友樹両選手がマッチメークされるという幕開けに相応しい衝撃があった。
共に看板代名詞である瀧村の【4色ラリー】と松本の【グリクシス・コントロール】が四つ身で組み合った試合の内容はニコニコ生放送、カバレージ記事の両面でピックアップされている。
実況の岩 Show、解説の黒田 正城、カバレージを書いたSeigo Nishikawaのそれぞれの視線からの試合の様子を確認して欲しい。
Round 2
続くRound 2からはモリナガ ヨウスケ 対 河浜 貴和をピックアップした。
モリナガはこの春から関東に移動してきた宮城出身の若いプレイヤーだ。
「BMInviの権利、とれちゃいました」と本人は軽く言うが、デッキを見つめる眼差しは真っすぐだ。
東北のコミュニティに親しみがあり、その内評判も高いようだ。
今後はその活躍の場を関東に移すということで、新たな世代の訪れを感じさせる。
相対する河浜はBIG MAGICユニフォーム契約プレイヤーであるBIGsの一員だ。
瀧村も所属するチーム豚小屋のまとめ役リーダーであり、その明るいキャラクターに反してプレイは鋭く熱い。
グランプリ・シンガポール2015では優勝した人見 将亮と【親和】デッキをシェアして調整していたことも伝えられており、競技マジックに深く接しているプレイヤーである。
【人見 将亮のグランプリシンガポール優勝レポート】
それぞれが選んだアーキタイプにも注目しつつ、ゲームの展開をお届けしたい。
Game 1
度重なるダイスロールの後、先手を獲得したモリナガは7枚をキープした。
河浜は1マリガン。
《伐採地の滝》《ヤヴィマヤの沿岸》から《森の代言者》、《平地》《死霧の猛禽》と続けた森永のデッキは【バントカンパニー】だ。【4色ラリー】から黒を抜いて、緑のクリーチャーを主軸にした構成のアグロ~ミッドレンジデッキであり、《棲み家の防御者》+《死霧の猛禽》パッケージを採用して攻勢を止めないのが強みだ。
対する河浜の初動は2ターン目《永代巡礼者、アイリ》。これは《森の代言者》ともども【アブザンアグロ】や【4色ラリー】などに採用される優秀なクリーチャーだが、3ターン目,4ターン目に続けたカードで河浜のアーキタイプが明らかになる。
《空中生成エルドラージ》からマナジャンプし、《風番いのロック》へと続ける。
【アブザンアグロ】のデッキを原型に緑の要素を排し、《反射魔道士》や《空中生成エルドラージ》、《層雲の踊り手》などが採用されて、地上を止めつつ飛行で攻めることを標榜する【エスパーミッドレンジ】だ。
比較的使用者が少ないアーキタイプだが、グッドスタッフとして優秀なカードプールで構成され、地上から攻めてくるデッキに強みがある。
メインボード戦では、そうした前評判通りの相性が露出しているようであった。
モリナガは《死霧の猛禽》でブロックできない飛行勢と競わざるを得ないダメージレース中盤。《風番いのロック》強襲の登場は一気に"詰めろ"を掛けられた状態となり、《死霧の猛禽》合わせて3体を並べるものの、お互いすれ違いのアタックの結果は河浜に軍配が上がった。
森永 0-1 河浜
Game 2
お互いサイドボーディングに際して、特にアウトカードを決めるのに迷い、選び、考えている。
どちらもグッドスタッフと呼ばれる、シナジーよりもカードの強さを軸に組まれたアーキタイプだ。何のカードがいつ、どのように必要なのかを綿密にシミュレーションする必要がある。
後手の妙となる《白蘭の騎士》を2枚含めたハンドをキープした河浜。後手4ターン目《風番いのロック》強襲での盤面逆転を成立させる為に必要な2種目のカードだ。
モリナガも先手2ターン目《ヴリンの神童、ジェイス》と、ハッキリ強いアクションを示す。だがここからモリナガ、《ヴリンの神童、ジェイス》の起動を含めても翌ターン、セットする土地を詰まらせた。
《森の代言者》こそ展開するが、《白蘭の騎士》《空中生成エルドラージ》を続ける河浜が次第に盤面を支配していく。どちらもビートダウンを勝ち筋にする以上、最初に開いた展開の差はそのままアドバンテージの差となることが多い。
《ヴリンの神童、ジェイス》2回目の起動、ようやく引きこんだのはー…《梢の眺望》。《ヤヴィマヤの沿岸》で色マナを供給している森永はタップインで置くことしかできない。
森永は辛うじて《ドロモカの命令》による+1/+1と格闘で《空中生成エルドラージ》1体を落とすものの、既に河浜がコントロールする2体目の《空中生成エルドラージ》と2体のエルドラージ・末裔トークン、《白蘭の騎士》という攻め手によるライフ損失は少なくない。
互いに展開をここで止めたところで《ヴリンの神童、ジェイス》が4回の起動を経て《束縛なきテレパス、ジェイス》へと変身し、プラス能力で《空中生成エルドラージ》を抑えると、見た目ほどの勢いに差はなくなった。
河浜、並べた地上の戦力たちでは《森の代言者》を超えられず、しかし《ヴリンの神童、ジェイス》を放置することは出来ない。《ヴリンの神童、ジェイス》による《ドロモカの命令》のフラッシュバックでアタッカーの数を減らす中、《森の代言者》の壁に《ヴリンの神童、ジェイス》を落とす。
このやり取りで猶予を取り戻してきた森永、ようやく土地を伸ばしていき、追加の《森の代言者》《跳ねる混成体》で失われていた盤面を作り続け、やがて《巨森の予見者、ニッサ》が《精霊信者の賢人、ニッサ》へと変身すると今度は河浜に対して"詰めろ"をかけることになった。
《搭載歩行機械》X=4という、末裔トークンを犠牲にしたビッグアクションで盛り返しを図った河浜だったが、これが《反射魔道士》で切り崩されると確たる攻め手も受け手も示せず、怒涛の逆転手を受けきるライフは喪失していた。
森永 1-1 河浜
Game 3
河浜、1マリガン。モリナガ、白マナがない土地2枚だが、《森の代言者》という初動の7キープ。
モリナガの《梢の眺望》《伐採地の滝》、河浜の《乱脈な気孔》《窪み渓谷》というタップインで序盤を消費していく。ここから中重量級のクリーチャーが殴り合うことが予想できた。
先にパーマネントを示したのは《平地》から《空中生成エルドラージ》と動いた河浜。
これに《森》《反射魔道士》と同じく3ターン目の動きを重視して展開していた森永が返す。
《搭載歩行機械》X=2で連続してタップアウトだが、ここに《絹包み》が突き刺さる。
出るクリーチャーを続けざまに減らされた河浜だが、《空中生成エルドラージ》本体のアタック後、《風番いのロック》強襲。飛行クリーチャーの8打点を作り、残り16の森永のライフを"アタック2回分"の瀕死に至らせた。
この勢いに押され切ったGame 1と異なり、今度はモリナガが回答を示した。同じく《風番いのロック》強襲を示し、タフネス偏重を並べあって"先に殴った方が不利になる"持久戦を申し込む。
しかしこの申し出を一蹴するアクションを見せた河浜。《残忍な切断》と《絹包み》で《風番いのロック》と鳥トークンをはじいて、8点、8点と削り切った。
森永 1-2 河浜
河浜 Win!
【アブザンアグロ】のフィニッシャーを担い続けてきた《風番いのロック》が、ここにきて評価を高めているようだ。【4色ラリー】や【バントカンパニー】が飛行クリーチャーの攻勢に弱いという性質を狙い、【エスパーミッドレンジ】のようなデッキが生まれてきた。
更にそうした飛行ビートダウンへの回答として、【4色ラリー】【バントカンパニー】側も《風番いのロック》を積み始めている。
《風番いのロック》は4月のローテーションによって《包囲サイ》ともどもスタンダードから退場するが、このBMInviがその2年に及んだ活躍の最後を締めくくる大舞台となりそうだ。
河浜の【エスパーミッドレンジ】がこの勢いのまま地上クリーチャーデッキたちをなぎはらうのか、モリナガが【バントカンパニー】で1敗に留まり、ベスト8目指して再浮上してくるのか。
楽しみなBMInviの今後の展開は、全ラウンドをテキストカバレージでお届けする予定だ。
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