【BMO Vol.6】BIGMAGIC Sunday Modern Round 3 行弘 賢(東京)対 ポター哲(兵庫)
タグ:BIG MAGIC Open Vol.6, BIGMAGIC Sunday Modern, BMO Vol.6, カバレージ, モダン
Text by 森安 元希
BIGMAGIC OpenのうちモダンとレガシーはBIGMAGIC Sundayへと名を変えた。
特にモダンは環境を大幅に再定義しての大会となる。BMInviともども新生の大会となった。
参加者92人。スイスランド7回戦ののちシングルエリミネーション3回戦だ。
注目の【エルドラージ】の総数と、それへの回答となるデッキの比率はどうなるか。
全勝卓よりポター 哲vs行弘 賢をピックアップする。
長年プロプレイヤーとして活動を続ける行弘は現在はDig.cardsからスポンサードを受けている。特にこのシーズン、行弘とRizer(石村 信太朗)が新セットのプレビューカードを評価する記事は注目度が高い。
今大会では【アブザンカンパニー】を選択したようだ。謹製の【おやつカンパニー】が印象に深いが、リストはオーソドックスな"無限頑強"を主軸に据えた形のようだ。
この純正ともいえる【アブザンカンパニー】は対【エルドラージ】デッキとして、【親和】ともども名を挙げているデッキの一つだ。
先手を掴んだ行弘が、無限ライフ無限ダメージへ向けて一直線に駆ける。
対するポターのデッキは【オーラバトラー】だ。
《ぬめるボーグル》を代表とした呪禁クリーチャーを《ハイエナの陰影》のような族霊鎧で強化していく。特にオーラを重ねたあとの《天上の鎧》と《夜明けの宝冠》のサイズアップは驚愕だ。
20/20という数字まで達成することも珍しくない。【エルドラージ】をもひれ伏させるサイズ感に、愛好者は少なくない。
行弘は二つ前のモダンで開催されたRPTQにて【オーラバトラー】とバブルマッチを戦い、負けている。彼の長年に渡るグレイビートレインを差し止めた因縁とも言えるデッキタイプだ。
Game 1
行弘、先後が大きく展開に影響するマッチアップで最大目の12をダイスロールして先手を獲得する。
2ターン目にして《極楽鳥》2体と《シルヴォクののけ者、メリーラ》を揃えて急速な準備に取り掛かる。
ポター、《吹きさらしの荒野》から《寺院の庭》、《剃刀境の茂み》から《シラナの岩礁渡り》。
呪禁に加え、"飛行以外によってはブロックされない"という、攻める上では到達を弾ける分飛行より強い能力を持つ。幸い行弘は既に飛行を持つ《極楽鳥》をコントロールしているものの、相打ちを取れるようなビジョンはあまりないだろう。
行弘、相手のエンドまで待つ意味もないとの判断からメインで《集合した中隊》を打つ。このタイミングであればマナクリーチャーや《族樹の精霊、アナフェンザ》のめくれ次第では有利に働く分だけ、"メインに動く"と判断した。
めくれは《根の壁》《永遠の証人》。《集合した中隊》を回収してハンドを減らさずマナ加速してみせた。
ポターは《コーの精霊の踊り手》を追加する。オーラを唱える度1ドローをもたらす"エンチャントレス"の一人を置いてから、《ハイエナの陰影》をつけてアタックしていく。
サイズ修正よりむしろ族霊鎧として《神の怒り》のようなカードからクリーチャーを守る役割が注目される1枚だが、先制攻撃は戦闘に強いというコンバットの基本をモダンに知らしめている1枚でもある。
行弘の動きは《台所の嫌がらせ屋》を展開するのみだ。これは受け身の戦闘に非常に強い役割を持つ1枚だが、【アブザンカンパニー】ではその頑強能力が最も注目されて採用されている。
相手より大きく育てて殴ることを信条にする【オーラバトラー】の本筋を辿り、ポターは《シラナの岩礁渡り》を《夜明けの宝冠》、《怨恨》と育てていく。
このパワー7というフィニッシュ級のアタックに対応して行弘は《集合した中隊》ー…
その中には《臓物の予見者》がいた。1マナ1/1の非常に脆弱なクリーチャー。
しかし【アブザンカンパニー】が白緑ではなく黒を触る最大の理由ともなっている1枚だ。
タップアウトのポターに対し、《台所の嫌がらせ屋》、《シルヴォクののけ者、メリーラ》、《臓物の予見者》が揃う。そのまま《台所の嫌がらせ屋》が無限に生け贄に捧げられ、生け贄に捧げられる度に-1/-1カウンターが配置されることなく戦場に戻るたびライフ2点を行弘に与える。
無限ライフ。
コンボデックウィンのなかでも無限ダメージを持たないオーラバトラーは無限ライフが完成した地点で
たたまざるをえなかった。
行弘 1-0 ポター
Game 2
最軽量の呪禁クリーチャー《ぬめるボーグル》で始めたポター。
行弘の《シルヴォクののけ者、メリーラ》を即座に《流刑への道》して、このアタッカーの行く道を空けていく。《ハイエナの陰影》、《ひるまぬ勇気》とこれを育てる合間、《安らかな眠り》を貼って頑強対策することも忘れない。
行弘はブロック前のタイミングで《集合した中隊》から《台所の嫌がらせ屋》2体を出現させるものの、一方的に打ち取られて頑強で戻ってくることもないブロックにも参加させない。
行弘、ターンをもらってここで初めて長考した。見つめるハンドは《台所の嫌がらせ屋》、《流刑への道》、《永遠の証人》、《残忍なレッドキャップ》、《召喚の調べ》。
結果としては何もせずにターンを終える。
ポター、ここに2枚目の《ハイエナの陰影》をつけて5/5の《ぬめるボーグル》をアタックに向かわせる。
これを《台所の嫌がらせ屋》でブロックし、召集を含めて《召喚の調べ》X=2で唱えた。
《クァーサルの群れ魔道士》を呼び出して《安らかな眠り》を破壊し、戦闘ダメージの結果のタイミングで《台所の嫌がらせ屋》の頑強を誘発させる。トランプル分のダメージを殆ど帳消しにしていく。
ここからお互い有効牌らしい有効牌に繋がらず、《ぬめるボーグル》のアタックを消耗的にブロックしていく展開が続く。
最後、ポターが《夜明けの宝冠》をドローするとライフはもう尽きていた。
行弘 1-1 ポター
Game 3
行弘。
《剃刀境の茂み》《吹きさらしの荒野》《集合した中隊》《族樹の精霊、アナフェンザ》《台所の嫌がらせ屋》《異端の癒し手、リリアナ》というハンドを長考の末、キープした。
ポターは1マリガンで《剃刀境の茂み》から《ぬめるボーグル》スタートだ。
行弘も2ターン目の《族樹の精霊、アナフェンザ》から入りつつ、《森》も引けているので展開は続けられる。
ポター、再びの《安らかな眠り》で頑強を事前に予防していくが、肝心の強化オーラが引けていない。
《ぬめるボーグル》2体と《シラナの岩礁渡り》を並べてゆきながら、貼れたオーラは《天上の鎧》1枚。
行弘はドローした《クァーサルの群れ魔道士》で《安らかな眠り》を割っていく。加えて《集合した中隊》で《永遠の証人》と《呪文滑り》をめくった。
【オーラバトラー】【感染】への最右翼たる回答の《呪文滑り》だが、ポターが唱えたのは唯一"吸い取れない"オーラであった。
《夜明けの宝冠》。
エンチャント(エンチャントされているクリーチャー)という非常に珍しい文言は、本来決して軽くないデメリットとして扱われるはずだが、その反面《呪文滑り》を防いでいたのだ。
ようやく《ぬめるボーグル》を育てられたポターの反撃ののろしが今、上がった。
そして行弘はー…既にハンドにあった《残忍なレッドキャップ》を出してから、引き込んだ《臓物の予見者》を戦場に送り出す。
《残忍なレッドキャップ》、《族樹の精霊、アナフェンザ》、《臓物の予見者》が揃った。
そのまま《残忍なレッドキャップ》が無限に生け贄に捧げられ、生け贄に捧げられる度に配置された-1/-1カウンターは鼓舞と相殺され、戦場に戻るたびライフ2点をポターから奪う。
無限ダメージ。
Game 1の無限ライフと表裏一体となる【アブザンカンパニー】が有するもう1つの無限コンボ。
戦場の不利をおしのけて、行弘が勝利をもぎとった。
行弘 2-1 ポター
行弘Win!
Magic Onlineの統計によれば一時は45%までメタゲームの勢力を伸ばしていた【エルドラージ】。
それに立ち向かうスペックを持ったデッキ同士の対決となった。
会場を見渡しても、【エルドラージ】よりも対【エルドラージ】デッキを選んだ比率が大分多いようだ。
行弘の【アブザンカンパニー】もコンセプトは共通させながら、【キキコード】(《鏡割りのキキジキ》+《修復の天使》)や【テューンパイク】(《テューンの大天使》+《スパイクの飼育係》)といったアレンジが流行るほど、ここにきて人気を見せてきている。
純正を選択した行弘、「借りたデッキ」と話してこそいるが、その手つきに迷いは少ない。これまでの経験値を元に、残る4戦も無敗を目指す。
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