不気味な腸卜師/Grim Haruspex

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Card of the Day -今日の1枚- 2016/07/05

不気味な腸卜師/Grim Haruspex

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卜師とは占い師のことだ。古代の人類史においては、どの文明でも占い師が国の重要なポジションについたものである。なかでも中国の占い師というものはそれはそれは権力を動かしたことだろう。彼らの多くは亀の甲羅を炙ったり、それらしい儀式をやっては見せるもののそれをその都度都合の良いものとして説明していた。当たらぬもと言われる八卦なんかそうであろう。某天才軍師は、出陣前の八卦の結果が大凶と出ても、ここが攻め時と言うのを主君に強く訴えるため「大凶の中に飛び込むからこそ大吉を得られる」みたいなことを云々説いていたりするので、そういうもんなのだろう。

 

ただ、そういう儀式行動をマジにやっちゃうのがマジックの世界。イカれた人ばっかりですからね。アジア風の次元・タルキールの占い師はハンパじゃない。その役職名も腸卜師。腸で占いを行う。ぶっ飛んでるな。この役職名について調べてみたところ、英名のHaruspexが腸卜者・腸卜僧という意味で、これは古代ローマにて生け贄となった動物の腸を用いて占いを行った祭司のことを指すらしい。なんやそれ、えげつない...地球も多元宇宙の中じゃぶっ飛んでる方だな。

 

このスゥルタイ群に属する占い師は、味方の死体を使って占いを行う。トークンでない自身の他のクリーチャーが死亡するたびに、カードを1枚引くことが出来る。自身は戦場にて静かに控え、自軍が相討ち前提のアタックを繰り返すのを後方から眺め、その戦死した身体から腸を引きずり出してそれでゲームの行く末を占う...やっぱりえげつないな。光景もそうだが、その能力も極めてえげつない。相手のクリーチャーとこちらのクリーチャーが相討ちすると普通は1:1交換だが、自分だけドローしてこの損失を補填すれば相手のクリーチャーをタダで討ち取ったようなもの。クリーチャーに除去を撃たれても、こちらがカードを引けるのであればその損害はすぐに取り戻せるだろう。全体除去ならばむしろ撃たれたことで得をすることさえありそうだ。

 

でも結局、こんな強力なクリーチャーがいるのであればそもそもそいつに除去撃つし、迂闊にブロックもしないよ、とお思いのアナタ。コイツはその点、さすが易学を学んでいるだけあって人間心理を突いた攻めをしてくるぞ。変異持ちであるため、その正体が不明な裏向き2/2の状態で戦場に出てくる。戦場には他に4/4のクリーチャーがいるとして、除去をここに向けて撃つと、クルリと腸卜師がその正体を現すという訳。他に複数の変異クリーチャーと一緒に戦場に出ると、攪乱されることこの上なし。変異コストも黒1マナのみと非常に軽いので扱いやすい。

 

このカードが最も輝いたのは現役時のスタンダードの「ラリーデッキ」の心臓役をやっていた時だ。これがある状況でクリーチャーを《ナントゥーコの鞘虫》にモリモリ食わせていればガンガンカードを引けたし、横に《地下墓地の選別者》がいれば占術してからのドローで欲しいカードへのアクセスも容易いものだった。あの活躍は忘れられないなぁ...今後は生け贄系デッキをEDHで組む際の必須パーツとして、その存在感を発揮してくれることだろう。個人的には『運命再編』のプレリで配布されたウギンパックから出るコレの絵違いが、Cannibal Corpse感あって大好き。

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