BIGs 人見将亮「みっくすはバーンについてかく語りき」
タグ:BIGs, みっくすはかく語りき, バーン, モダン, 人見将亮, 読み物どうもみなさん!加入してからはや一年、勝っても無いのに初投稿、BIGsの人見将亮です(周りからはみっくすと呼ばれております)。
「えっ、誰なん君」と思った方もいらっしゃるでしょうから簡単に自己紹介させていただくと、1年以上前のグランプリ・シンガポールで一発当たってBIGsに加入できちゃったラッキーボーイです。モダンが一番好きなフォーマットで、今はマジック・オンラインで主にプレイして、国内外のGP、BIGMAGIC OPENシリーズでのみリアルマジックを楽しんでいます。
もちろん10月22日(土)23(日)横浜参貿ホール マリネリアで開催のBMO Vol.8「渡辺雄也杯」も参加しますよ!
さて、僕の緊張をほぐすためのウォームアップ兼露骨なBMOアピールはこの程度にして、本題に入りましょう。
去る8月27日、28日に中華人民共和国で開催されたグランプリ・広州2016へ参加してきました。
結論から言うと11勝1敗から一気に転落し最終成績29位と、リアクションに困る成績でフィニッシュ。しかし参加するにあたり12種類のデッキを試し最後にたどり着いた13種類目であるバーンの感触がよかったので、備忘録も兼ねて軽めの文章にまとめてみることにしました。
※試したのは「親和」「感染」「マーフォーク」「無色エルドラージ」「ソウルシスターズ」「バーン」「ナヒリトリコ」「バント・エルドラージ」「グリセルシュート」「RG Breach」「4C風景の変容」「青白コントロール」
【バーンとは】
・軽量クリーチャーを12~14枚
・消費マナの割に打点の高い火力呪文を24~27枚
・初手依存系のオールインデッキ
・赤白、赤白緑が主流
以上が大雑把なバーンの特徴です。
「なんやそれ思考停止本体火力マンやないか・・・」と思ったあなた、鋭い。おおむね正解です。でもちゃんとデッキの利点や重要なポイントもあります!
1.2マナまでのカードで構成されているので後手土地1枚キープを許容しやすい。
2.対応する側ではなく、押し付ける側の立場である。
3.理論上は3キル、もしくはそれよりもキルターンが早い動きがデッキに存在する。
4.火力呪文の特性上、ミラーマッチを除くほとんどのデッキに対してメインボードのカードが不要になりづらい。
1~3は個人的に現在のモダン環境を勝ち抜けるデッキの必須条件だと思っており、「Super Crazy Zoo(SCZ/死の影アグロ)」「感染」「RG Breach」「グリセルシュート」もこれらを満たし同じく勝てるデッキと言えると思っています。4は裏を返すと柔軟性にかけるカードしかはいっていないってことですが、「バーン」ってそんなものです。モダンはいわゆるグッドスタッフなデッキは非常に少なく、尖ったカードのみで構成されているものが他のフォーマットよりも群を抜いて多い環境です。それ故に「モダンは祈り」「モダンは当たり運」と揶揄されることもありますが...だからこそ自分のことだけを考える先のような高速で勝負をつけるデッキが、昨今優位に立ちまわっています。
【キープorマリガン】
「バーン」のマリガンはとても単純。
先手土地1
先手後手関係なく土地4
これらは絶対マリガンします。
※ただしサイド後は先手でも土地1キープするマッチアップは存在する。
「え~でもでも~○○なときだってあるしぃ~」って思っても、ごちゃごちゃ言わずに感情を殺してマリガンしましょう。
マリガンを嫌う人はそもそも「バーン」を使わない傾向にありますが、本来マリガンはゲームができない手札を入れ替える救済措置です。
マリガン=悪ではなく、マリガン=ルールに感謝と考えると気が楽です。
【火力をどこにプレイするか】
「バーン」には相手のライフを0にする以外の勝ち手段がありません。
リソース勝負もできないデッキですので、クリーチャーorプレイヤーで火力の対象を悩んだ場合、不慣れなうちは40秒考えてわからなかったらプレイヤーに打ちましょう。
ほとんどの場合クリーチャーにプレイすべきときは即決できます。
【バーンの有利不利/各デッキ相手のサイドボーディング】
ここからは「バーン」の有利不利について、僕の主観になります。
また実際に僕が使用した下記のリストでの相性が前提ですので、そこは留意してください。
・有利なデッキ
「親和」
「グリクシスコントロール」
「マルドゥコントロール」
「ローム無し発掘」
「リビングエンド」
「青黒フェアリー」
「マーフォーク」(《海の要求》非採用タイプ)
・不利なデッキ
「ソウルシスターズ」
「アブザンカンパニー」
「青赤白昇天」
「RG Breach」
「白緑オーラ」
「ヘイトベアー」系のデッキ
「緑単ランプ」
ここにあがらなかったデッキとのマッチアップは体感ですが、五分程度です。
またライフを自ら削る「SCZ」は一見有利そうに見えますが、相手の手札との噛み合いが非常に大きな要素であり、後手番は不利と僕は感じています。
次に主要デッキ相手のサイドボーディングを下記に用意しました。
「親和」
先手
out:《溶岩の撃ち込み》4《ボロスの魔除け》4
in:3《流刑への道》、3《破壊的な享楽》、1《跳ね返す掌》、1《二股の稲妻》
後手
out:4《溶岩の撃ち込み》、4《大歓楽の幻霊》
in:3《流刑への道》、3《破壊的な享楽》、1《跳ね返す掌》、1《二股の稲妻》
※後手番は《頭蓋囲い》の一撃を受けないようにバーンスペルと除去の2段構え。
後手で《大歓楽の幻霊》を抜くのは1ターン目クリーチャー、2ターン目幻霊を《鞭打ち炎》で流されたらそこから捲り返すのが困難であること、場のクリアを優先するので結果的に手札に幻霊が残ってしまいダメージが稼げないこと、あくまでもこっちが守る側であることの3つが主な理由です。気分が乗らない場合は先手でも幻霊を抜いても構いません。
【覚え得○ッピーテク】
こちらのクリーチャーを《刻まれた勇者》でブロックされた時、ダメージ解決前に《頭蓋割り》をプレイするとプロテクションの「ダメージを軽減する」ことができなくなり致死ダメージを与えられます。
「感染」
out:4《ボロスの魔除け》、4《頭蓋割り》
in:3《流刑への道》、3《破壊的な享楽》、1《跳ね返す掌》、1《二股の稲妻》
《頭蓋割り》を《台所の嫌がらせ屋》にタイミングよく合わせる、なんていうのは幻想なのでそこは無視します。
また《台所の嫌がらせ屋》と《払拭》が入っている相手に2マナのカードがだぶついてしまい、手札を使い切れず負けるのはナンセンスなので魔除けと《頭蓋割り》は思い切ってサイドアウト。「親和」同様に殲滅戦の構えで臨みますが、相手の《墨蛾の生息地》が一番厄介。
「ジャンド」
先手
out:2《二股の稲妻》
in:2《流刑への道》
後手
in:3《流刑への道》、1《跳ね返す掌》
《大歓楽の幻霊》は相手にクロック(ライフを削るダメージ源。主にクリーチャーを指す)が出てしまうと途端に弱いカードとなるので、相手が《残忍な剥ぎ取り》や《渋面の溶岩使い》を採用しているタイプなら先手でも後手同様に抜いて同じサイドボーディングをしても構いません。結局このカードが勝負を決めることはなく、最後はトップデッキ勝負になります。選択肢は相手にありますが、「ジャンド」はいわゆるしゃーなしキープが多いので気楽にやりましょう。
「バント・エルドラージ」
out:4《大歓楽の幻霊》、2《稲妻のらせん》
in:3《流刑への道》、2《破壊的な享楽》、1《二股の稲妻》
先手ゲーになりやすいマッチアップですが、相手も不安定なデッキなのでマナクリーチャーを潰してスピード勝負を挑みます。
《破壊的な享楽》は《呪文滑り》とサイドインされる《崇拝》対策です。《大歓楽の幻霊》を先手でも抜くのは、1ターン目に1マナ生物召喚→相手がマナクリーチャー召喚と動かれた場合、手札に幻霊があっても必ず除去からプレイする=2ターン目に優先するカードではないので抜きます。
もし相手が《エルドラージの寺院》スタートなら、やはり2ターン目に3マナのクリーチャーをプレイされて幻霊がアタックできずクロック負けするので不要となります。
《跳ね返す掌》はサイドインしたいところですが、手札回転率が悪いカードはこのマッチアップでは即死につながるので僕は入れません。
結局は序盤の勝負になります。
「発掘」
out:4《大歓楽の幻霊》、2《渋面の溶岩使い》
in:4《墓掘りの檻》、1《二股の稲妻》、1《跳ね返す掌》
相手は発掘して土地を置くという動きがメインとなり、《秘蔵の縫合体》の前にもじもじする《大歓楽の幻霊》は抜きます。このマッチアップは《墓堀りの檻》があるかどうかで大きく勝率が変わり、なおかつスピード勝負でもあるので後手の場合は檻マリガンを検討してもいいでしょう。
※檻が出ている状態でも、セットランド《恐血鬼》能力誘発スタックで《自然の要求》や《突然の衰微》で破壊されると墓地から戻ってくるので、2枚目の檻を引いた場合、盤面の展開よりも優先してプレイし、相手の心を折りましょう。
「マーフォーク」
out:3《ボロスの魔除け、4《頭蓋割り》
in:3《流刑への道》、3《破壊的な享楽》、1《二股の稲妻》
比較的有利なマッチアップですが2015年のモダン環境とは違い、《潮流の先駆け》が加入しており以前ほど有利ではありません。
また、《海の要求》入りのマーフォークの場合はこちらが不利です。
マーフォークやエルフなどの部族デッキはバーンスペルをプレイヤーに打ち込むだけではターン数とカードの両方が不足するため、必ずクロックが必要です。先手はともかく後手でクリーチャー無しの手札はマリガンを検討しても良いでしょう。
1ターン目にクリーチャーをプレイして、火力で相手のブロッカーを除去しながら攻撃している間は《広がりゆく海》などで土地を攻めるよりも前に相手が展開を優先してきますが、そうでない場合は土地をつぶされて手札のカードを使いきれずに敗北してしまいます。
「緑系トロン」
out:2《二股の稲妻》、3《焼尽の猛火》、2《渋面の溶岩使い》
in:3《流刑への道》、3《破壊的な享楽》、1《跳ね返す掌》
珍しく有利と断言できるマッチアップですが、先手で《虚空の杯》を置かれると詰む場合もあります。《流刑への道》は《呪文滑り》《難題の予見者》《ワームとぐろエンジン》用です。《跳ね返す掌》でワームとぐろのダメージを軽減できる可能性もあります。
「アドグレイス」
out:3《焼尽の猛火》
in:3《破壊的な享楽》
不利なマッチアップですが、しっかりと1マナクリーチャー込みの手札をキープできれば勝機はあります。先手で《大歓楽の幻霊》を出すと「おっしゃ!!」という気持ちになりますが、相手が上手いと死ぬ直前のターンまで我慢して《天使の嗜み》をプレイした後《ファイレクシアの非生》を出してから動いてくるので、思ったより打点はでません。
「SCZ」
out:4《頭蓋割り》
in:3《流刑への道》、1《跳ね返す掌》
ライフを自分から減らす相手なので有利に見えますが、そうでもありません。
こちらが除去プランの時に《死の影》プランだと負けですし、逆に《流刑への道》クロックプランのときに面で押されることもあります。つまり、噛み合いです。また先手後手も非常に重要になります。
勝つには2ターン目に《死の影》をプレイされないこと、そしてその場合は相手が完璧な手札でないことを祈って、一瞬だけでいいので相手に全力で火力をプレイするターンを用意することです。もちろん《流刑への道》などを構えられるならば言うことはないですけどね!
「ナヒリトリコ」
out:3《焼尽の猛火》、1《渋面の溶岩使い》
in:3《コーの火歩き》、1《墓掘りの檻》
絶望的なマッチアップです。あふれる除去とライフゲインでゲームが長引きますし、相手が《流刑への道》をプレイしてくるのでこのマッチアップのみは先手でも土地1枚の手札をキープしても構いません。プレイの注意点としては、もしも序盤に相手が除去などでタップアウトしていれば、こちらもメインフェイズに2マナのインスタント火力をプレイすることです。2マナのスペルを通していると最終的に《溶岩の撃ち込み》と《稲妻》が手札に溜まって、結果《呪文嵌め》や《払拭》が当たらず勝てることがあります。
【How to play】
最後は実際にマジック・オンライン上であった序盤の動きを撮影したものです。
どう動くかの絶対的な正解を出す問題ではなく、あくまでもどの程度選択肢があるか気付けたかという例題だと認識してください。
・1本目はこちらが勝利
・「ジャンド」とのマッチアップ、1本目に《残忍な剥ぎ取り》を3枚、《漁る軟泥》を2枚プレイされた。
・サイド後、こちらが後手
・お互いに初手の7枚をキープ
相手は画像の通り《黒割れの崖》を場に出してターンエンド。
こちらの後手第一ドローは2枚目の《樹木茂る山麓》。
さて、ここからあなたならどうプレイするか、そしてその理由は何かを40秒以内で答えを出してください。
時間制限を設けたのは実際の大会中はそれ以下の時間で思案できるようになるべきだと僕が思っているからです。
ポクポクポクポクポクポク・・・チーン!!
はい時間終了です。
ではまず《樹木茂る山麓》から山を探して《ゴブリンの先達》をプレイ、攻撃した場合は・・・・
デデーン
ご覧のとおり《稲妻》で破壊されてしまったあげく、《ゴブリンの先達》の能力が相手に《新緑の地下墓地》をプレゼントしてしまいました。
返すターンで《タルモゴイフ》をプレイされた場合すでに3/4で手札のカードで破壊することもできず、1ターン目にして大ピンチ!
《樹木茂る山麓》から山を探して《裂け目の稲妻》を待機してターンエンド。
思考の順番は以下の通り
1.相手はマリガンをしなかったのにもかかわらず、1ターン目にアクションがない
2.フェッチランドから各種ショックランドを探してタップインするか、《黒割れの崖》をプレイしたのであれば手札破壊が飛んできてもおかしくないはず
3.でも実際はそうはならなかった。7枚でキープしているのに?フェッチランドもショックランドも持っていないだと・・・?
4.《稲妻》をこちらの1ターン目のクリーチャーにあわせて返しのターンにクリーチャーを出したいのかな、《タルモゴイフ》だと3/4だから嫌だな。
こんな感じです。
僕の選択肢の場合、相手が《漁る軟泥》か《残忍な剥ぎ取り》をプレイしてきたら《裂け目の稲妻》の対象はプレイヤーを選択。
ドローを見て《焼尽の猛火》でない場合、《ゴブリンの先達》を出して《二股の稲妻》を相手のクリーチャーへプレイした後に攻撃。
もしも《タルモゴイフ》をプレイされた場合は1/2なので、《裂け目の稲妻》を《タルモゴイフ》へ。
相手がアンタップ状態の土地をプレイしてターンエンドしてきた場合は、やはり《稲妻》《突然の衰微》《終止》のいずれかを構えていると考えられるのでこちらもそれらで触れない《ボロスの魔除け》をプレイ。
もちろん、《ゴブリンの先達》を出して攻撃した場合《稲妻》で除去されることを考慮したうえでプレイ→攻撃を選んだので、あれば先ほど説明した通り、選択肢に気付けている・考慮できているので問題ありません。《稲妻》が無かった場合のリターンは非常に大きいものになりますしね!
...ただし、このように「選択できる場面になってから悩む」のはプレイ時間の無駄やミスに繋がります。大会に出る前に自分の中で「○○の場合はこう動く」とある程度マニュアル化しておくと、頭をフル回転させずに済んでその分楽ができるので、何か一つでも試してみてください。
【終わりに】
駆け足で言いたいことを好き放題言いましたが「バーン」の長所短所、おもしろさが少しは伝わりましたでしょうか。僕個人としては広州でTOP8以上の成績を残して気分良くみなさんにお会いしたかったところではありますが、それは今後自分が成長して行くうえでの楽しみや目標にしたいと思います。
最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。
もしも次回があればまたお会いしましょう。
ばいばいっ!