精神を刻むもの/Mindslicer

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Card of the Day -今日の1枚- 2016/12/22

精神を刻むもの/Mindslicer

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あらかじめ言っておこう、ジェイスとは何も関係ない。まずあっちの刻み方は「sculpture/彫刻する」という感じで、こっちは「slice/薄い一切れ」になるように刻むという、刻みアプローチの違いがある。コイツはその見た目通りの邪悪なヤツ。2本の前面に向いた角、眼球を持たず外角に覆われたエイリアンの如き頭部、ゴチゴチしつつもどこか人間らしい肉間の残る胴体、生物としてあるべき形に抗っているようにしか見えない両腕...カッコイイ。Kev Walkerの描く最高のクリーチャーの1つだ。霧が立ち込める洞窟で、追跡してきたものの姿を松明で照らし、生ける凶器を目の当たりにした...そんなホラー映画的要素をもった光源の使い方と言い、これは絶品。白米が2杯は食える。

 

4マナ4/3と、当時にしては破格のスペック。回避能力の類は持たないが、黒であれば道を切り開くぐらいのことは自力(除去)で何とかしろということで気にしなくて良い。今なら威迫くらいは持ってそうとか余計なことは言わなくていい。このホラーは、死亡するとすべてのプレイヤーにすべての手札を捨てさせる。この能力はデメリットともとれるし、超メリット能力となることもある。手札をしっかりと貯めるタイプのデッキだと、これに対して除去を使ったり相討ちに持ち込むことは避けたい・しかしパワー4で殴られるのも痛いというジレンマ。ただ開き直ってこちらのドロー後に除去を撃ち込まれると、1ターンアクションが出来ずに終わってしまう。使われる側は勿論、使う側も慎重に扱わなければならないニトログリセリンな1枚である。

 

『オデッセイ』にて収録されたこのカード、当時は...ちょっと活躍できる環境ではなかった。スレッショルド、フラッシュバック、マッドネス...手札をすべて捨てさせることが効果的どころか相手の展開を補助してしまうことになりかねない、そんなスタンダード環境ではサイズに優れるもののお呼びがかからず。しかして『第9版』に再録された際は違った。パワー4で殴りつつ、《大いなるガルガドン》の餌にして任意のタイミングで手札を捨てさせる。後は無人の荒野をガルガドンが駆け抜ける...「ガルガドン・スライサー」は良いデッキだった。無茶苦茶強いデッキ、ではなかったのもまたマニア向けで良い。

 

そのインパクトのある見た目により、他のカードにも姿を現している。黒のクリーチャー代表としてプロテクション(黒)の《美徳の巡礼者》に襲い掛かる姿が、《頭蓋骨の粉砕》ではややツルッとしたタイプが兵士の頭をシバく姿が描かれている。主要クリーチャーとして、コンセプトアートにその姿があったりしたのかな。また同一アーティストKev Walkerによる《戦慄の復活》においても墓地から釣り上げられており、その愛され具合が窺える。

 

何故このカードが「Card of the 2016」週に紹介されるのかって?それは...とんでもない値上がりで話題になったからだ。2016年初頭、それまでは100~200円程度のシングル価格で取引されていたこのカードがじわりじわりと値を上げだして、ある日突然爆発。10倍以上の値上がりを記録し、そのままグイグイと上がって最高では65$での取引を記録している。...はっきり言って、ジョークだ。何故こんなことになったのか?これには海外のカードトレードサイトが1枚かんでいるという。《精神を刻むもの》はカジュアル人気の非常に高いカードであることは間違いなく、本国アメリカを中心に需要もそれなりにある。このカードを希望としていた人々に対し、レートを上昇させてからトレードを行うという手法が取られ...あれよあれよという間に皆の精神が刻まれてしまったというわけだ。さすがにこんな現象も極一時的なもので、現在では価格も落ち着いているので欲しいと思った方は安心して手に入れてほしい。2016年はこのような謎のカードの値上がりが本当に多い年だった。個人的には、古いカード・シブいカードに注目が集まるのはいいことではあると思う反面、お金に関するトラブルが起きないように祈るばかりだ。古いカードを多数持っている方は、それらを可能な限り大事にしてやってほしい。どんなカードでも、時間が流れれば懐かしいあの頃と今の自分を繋いでくれる1枚となるのだ。

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